衆議院選挙が終わった。結果についてはさまざまな思いがあるだろうけれども、争点の一つだった年金などの「世代間格差」について考えたい。
社会保障制度というものは元々、相互扶助の精神に基づいて設計されている。現役を引退した後の生活資金を自分で積み立てるという自助も大切だが、それでは補えない部分を支える構図だ。さまざまな要因によってたくさん稼いだ方は、そうでない方に対して支援をする、それを国の制度が支えるというのが本来の趣旨のはずである。
だから、現役時代の負担と自分が実際に受け取る額がどうかといった単純な比較はできない。そもそも相互扶助の精神に基づいているのだから、自分が支払った額をそのまま受け取るわけではないのである。
その前提の下に、やはり、生まれた年代によって負担と受益のバランスが異なるというのは事実である。経済状況にもよるが、何歳の人がどれくらいいるかという人口ピラミッドの形態に左右されるところが大きい。
生まれる子どもの数が減れば、人口ピラミッドが上に膨らんだ形になるのは自然な流れで、その結果、現役世代の負担に比べて、将来の受益が小さくなるのも当然のことである。元々の制度設計に人...