ソーシャルメディア時代のトランプ返り咲き 人類はどこへ向かう?

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  米フロリダ州の集会会場で勝利宣言の演説後、おどけるトランプ前大統領=11月6日(ロイター=共同)
  •  米大統領選での敗北を表明するハリス副大統領=11月6日、ワシントン
  •  米大統領選の開票結果(日本時間11月10日)
  •  伝統的なメディアによるトランプ、ハリス両候補の支持率推移

 米大統領選挙は、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)が民主党候補のカマラ・ハリス副大統領(60)に圧勝した。さまざまな問題を抱えながら「返り咲き」を果たした精神力は大したものだと思うし、そのような選択を示した米国民の「民意」にまずは敬意を表したい。

 その上で、いわゆる「トランプ現象」をどのように理解するのかという問題は存在していると思う。元々は不動産王として実業界で知られ、リアリティー番組などで知名度のあったトランプさんが大統領候補へ浮上した背景に、ソーシャルメディアの力があったことは多くの人の見解が一致するところだろう。

 大統領へのカムバックはソーシャルメディアのおかげ、という仮説は、テレビや新聞の扱いを見ていても納得できる。メディアによってニュアンスは異なるし、トランプさんを支持する媒体も存在するが、おおむね懐疑的な論調が多い。そのような見方に対する反発から、トランプ陣営は一貫して伝統的なメディアを敵視してきた。

 今回、陣営への多額の献金などでトランプさんを支えた実業家のイーロン・マスク氏も、自らが買収した短文投稿サイトX(旧ツイッター)を通して、伝統的なメディアは信用...

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