読書には、どんなプラスの効能がありますか?

  •  養老孟司さん(撮影・大津薫)

 【相談】

 私は昔から読書が好きで、多感な時期に本から得た知識や情感は、今の自分に少なからず影響を与えていると感じます。ここ数年は忙しく、仕事関連の書籍を読む程度で、視野が少しずつ狭くなっているような気がします。養老先生をはじめ優れた人のインタビューを読むと、読書を通して考える力を養われてきた方々なのだろうと感じます。普段の生活でも、人格的に優れていると感じた人に聞いてみると読書家だった、という傾向があります。養老先生は、人が文字情報から学びを得ることに、どんなプラスの効能があるとお考えですか? 仮にですが、先生が本に触れることができない人生だったら、今のご自身の思考や人格と違いが出たと思われますか?(31歳 公務員 男性 和歌山県)

 【養老孟司先生の回答】

 のっけから大変申し訳ないですが、読書をそんなふうに考えるのは、根本的によくない。

 あなたは「本を読むことは、良いことだ」という思い込みがまず前提にあって、「優れた自分」になるための手段と捉えているようです。あなたがおっしゃっている「効能」という言葉にそれがよく表れています。

 ▽素直に楽しむ

 おそらくあなたは読書を「量」の問題と捉え...

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