客車の蒸気暖房を楽しむ 柔らかさと優しさ

  •  客車末端から勢いよく蒸気が上がる=高崎駅構内
  •  加減弁は「暖房加減弁」表示のふたの下。写真右側のステンレスカバーの中を暖房配管が通る=真岡鉄道の50系客車
  •  こちらは「蒸気止弁」の表示。座面裏側、両脚の間に全開・半開を切り替えるコックが少し見える=大井川鉄道の旧型客車
  •  客車中央から蒸気。窓の外側が曇っているのが分かる=大井川鉄道の旧型客車
  •  編成末端の蒸気は、時に勢いよく吹き上がる=12月8日、夜明け前の家山駅(静岡県島田市)

 1枚目の写真をご覧いただきたい。青い電気機関車と茶色い客車の間から白い煙が上がり、係員が現状を確認しているような、見守っているような…。もちろん火事ではない。何となく緊迫感も感じられないと思う。種明かしをすると、写真に写っていない編成の反対側に蒸気機関車(SL)が連結されており、SLの蒸気の一部が暖房用として客車内の配管を通り、編成の最後部(電気機関車側)から排出されている場面。蒸気を使用した暖房設備の始業前点検をしているところだ。

 SL時代の暖房は当初、青森・津軽鉄道の「ストーブ列車」のように車内にストーブを設置したりしていたというが、後に機関車の蒸気の一部を利用する蒸気暖房が普及した。SLのエネルギーの一部を利用する合理的なものと言える。旧型客車と呼ばれる戦前から1950年代にかけて製造された車両でよく見られた。オハ35系列、スハ43系列などと呼ばれる形式だ。

 現在でも群馬県高崎市のぐんま車両センターに所属し、SLけん引で「レトロ〇〇」などの名称で運行される列車や、静岡県・大井川鉄道本線のSLけん引列車、下館(茨城県筑西市)―茂木(栃木県茂木町)を結ぶ真岡鉄道「SLもおか」の50...

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