釣れ釣れ草 納竿はいつにする?

 この時季の「狂」の付く釣り人同士の会話に「納竿(のうかん)はいつにする?」という言葉が飛び交う。あたかもそれが、古くから定められた行事のように、師走の忙しいなかを魚釣りにうつつをぬかす自分への呵責(かしゃく)の負担を軽減するための便利な言葉として使ってきた。家人から見れば、義務でもあるまいし、そんな律儀さは自分たちに向けてほしいと不満が鬱積(うっせき)しているに違いない。

 そんななか、個人で釣行するよりも釣りクラブの納竿大会に出かけるなら「クラブのために仕方がない」などと、一層罪悪感も軽減され、のびのびと釣りに出かけられる。この大会が月の半ばに行われるなら、その現場で「本当の納竿はいつにする?」とくるから釣りバカたちは始末に悪い。

釣りの過労死

 そんなことや世間の師走のあわただしさなどもまったく意に介していない釣り好きもいる。私の師匠格のYさんもMさんも釣りが仕事のような人であるが、それとても80歳を過ぎて体力的な問題もあるであろうし、よくあれほど釣りに行って飽きないなぁ、と思えるほどの釣行回数だ。

 釣りは遊びの中でも体力がいる。その上、このクラスの名人になると、どの釣りをしても最後の最後まで大変な集中力を維持しながら釣り続ける。度々このようなスケジュールを見聞きする私は、「Mさん、釣りが原因の過労死の可能性が十分ありますよ」と申し上げても超然の構え。

 「それやったら本望や!」

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