その昔、作者が不祥事などを起こしても、「作品に罪はない」などと言われてその評価が落ちなかったこともあった。しかし、時代は大きく変わった。
12月31日放送の「第75回NHK紅白歌合戦」に出演する星野源さんが、楽曲を変更することを発表した。星野さんの自身ホームページでの発表によれば、当初、歌う予定であった楽曲は「のちに性加害疑惑を報道された人物が監督した映画の主題歌」であり、「この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性があるという一部の指摘について、私たちはその可能性を完全に否定することはできません」として、楽曲変更の判断に至ったという。
もちろん星野さん自身は性加害にはなんのかかわりもないのだが、主題歌を歌うことじたいがさらなる加害になりかねない、と考えたのだ。おそらく10年も前であれば「この歌じたいは映画とは切り離された作品」「もし一部の人に加害を想起させるものであっても、作品のすばらしさを多くの人に伝える方が大切」といった意見の方が多数を占めたのではないだろうか。実際にSNSでは今回もそのようなコメントを述べる人もいたが、それよりも圧倒的に星野さんの判断を評...