【茂木健一郎のニュース探求】「事実」とは何か? 生成AIの発展が人類に突きつける課題

  •  茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)
  •  ディープフェイクの例(イメージ)
  •  開発者を装う特殊な命令により、通常は拒否するコンピューターウイルス作成の指示に従う対話型人工知能「チャットGPT」の画面=2023年4月、東京都港区
  •  キャサリン英皇太子妃(ロイター=共同)
  •  2023年7月、米ロサンゼルスで行進する全米映画俳優組合の幹部ら(ロイター=共同)

 2025年が始まった。いったいどんな1年になるのだろうか? 新しい年の初めに、「事実」とは何かについて改めて考えた。

 もちろん、事実は相対的なもので、人によって違うという言い方もできる。しかし、そんな悠長なことも言っていられないのは、何しろ人工知能(AI)、とりわけ生成AIの発展が目覚ましいからである。

 まるで人間のように文章を書いたり、画像や動画をつくったりする。そんな生成AIの能力が、ますます進化している。

 文章はもちろんだが、画像や動画のインパクトが大きい。著名人が登場する「ディープフェイク」と呼ばれる贋作(がんさく)が世の中に現れて数年。もはや、実際に本人が参加して撮影をしているわけではない写真や映像を見ても、何とも思わなくなってきた。

 今のところ、何とはなしに“生成AIらしさ”があるから、どうやらこれは事実ではないとかろうじて判別ができるが、それもいつまで続くか分からない。すでに、AIが生み出した偽情報に人々が惑わされる事例が続出している。事実と偽情報を区別する必要性は、これからますます増大していくだろう。

 一時期、新聞やテレビなどの伝統的なメディアに比べ、ソーシャルメディ...

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