【養老先生に人生相談!】認知症の母が他人に対して強い言葉をぶつけます。私も母につい口調がきつくなります

  •  養老孟司さん(撮影・大津薫)

【相談】

 母は79歳になります。数年前から認知症の症状が出ており、物を置いた場所を忘れるくらいはまだいいですが「知らない人が家に入って来た」「物を盗まれた」などと言うこともあります。私だけに言うのならまだしも、他人にも同じ振る舞いをすることがあります。他の人へは私たち家族よりも強い言葉で言うことが多いので、最近は、私もきつい口調でとがめざるを得ないケースが多くなっています。養老先生は、どう対処すればよいと思われますか?(60歳 自営業 男性 広島県)

 【養老孟司先生の回答】

 都会で人工物に囲まれていると、自分が生き物であることを、つい忘れてしまいます。ところが肉体は時間とともに衰え、脳機能も衰えます。なぜなら人間も自然の一部だからです。

 ▽人は変えられない

 普段、都会にいる現代人が“自分の中の自然”を突然、突きつけられると不安になり、受け入れがたい気持ちになるのは、仕方がないことなのかもしれません。でも生きている以上、衰えは避けられない。いっそ受け入れてしまえば、気は楽になると思います。

 受け入れる、ということは、どういうことでしょうか。

 最初に自覚していただきたいのはその人にはその人...

残り 1626 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事