【茂木健一郎のニュース探求】近くて遠い隣人は互いを映し出す鏡 最近の韓国情勢に思う

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  韓国の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣布に反発し、ソウルの国会周辺に集まった人々=2024年12月4日未明(共同)
  •  韓国の国会は尹大統領の弾劾訴追案を可決=24年12月14日、ソウル(共同)
  •  25年1月15日、韓国の高官犯罪捜査庁が入るソウル郊外の政府庁舎に到着した尹大統領(韓国取材団提供・共同)
  •  尹大統領の逮捕に激高し、ソウル西部地裁の敷地内に乱入する一部支持者ら。壁などを破壊した=25年1月19日(共同)

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布に始まった一連の事態は、日本でも大きな注目を浴びた。日韓両国の民主主義の在り方や文化を比較する論も見られた。

 内乱を首謀した疑いで、現職の大統領が史上初めて拘束・逮捕されるに至った韓国。お隣の国の政治は、民意に基づく法の執行で強烈なイメージがある。大統領が職務を全うし、退任後に平穏に暮らすのが難しい印象すら受ける。

 今回の非常戒厳においては、国会周辺に市民が集まったり、兵士が構える銃をつかんで抵抗したりする様子を大勢の人たちが報道やインターネット映像で目にし、心を動かされた。日本の民主主義は、韓国のやり方を見習った方が良いという意見もあった。

 確かに、日本の社会は政治に対して距離を置いたり、議論すること自体を敬遠したりする傾向がある。それに比べ、主張をストレートにぶつける韓国の流儀はまぶしく映る。

 一方で、韓国のような激しい動きが日本で見られないのは、それだけ政治が安定しているからだとネット上で指摘される。いろいろ不満はあるにせよ、国民生活がそれなりに安定しているからこそ、政治が熱くならないという考え方なのだ。政治の分野に限...

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