これまで月に約8万円ですんでいたがん治療が、月11万円台となったらどうするか。中には、治療中断を考える人も出てくるのではないだろうか。厚生労働省がまとめた「高額療養費制度の見直し」に多くの反対の声が上がっている。
「高額療養費制度」とは、治療を受けた際、ひと月あたりの医療費の自己負担に上限が設けられている仕組みを指す。それを見直し、今年の8月から段階的に上限額を引き上げるという考えだ。
負担上限額は年収や年齢に応じて異なるが、たとえば現在、年収550万円で70歳未満の場合、ひと月あたりの上限額は8万円程度。それが今年8月から8千円余り上昇し、2027年8月には11万3400円程度になる計算だ。
医療費が高額になる疾患は多数あるが、とくにがんを患っている人は多いので当然、この制度の利用者も多く、家計へのダメージが大きい。「上限額引き上げ反対」の声を受け、2月12日、福岡厚労相はがん患者で作る団体の代表者らと面会した。代表者らは引き上げに反対する13万5千人余りの署名を大臣に手わたし、見直しの凍結を求めたが、大臣は「長期間、治療を続ける患者の経済負担に配慮した修正案を検討している」と伝え...