大阪市を拠点に、革製品や雑貨ブランドを手がける「FrankPR(フランクピーアール)」(大阪支店・同市中央区)は、独自ブランドの開発、流通を通じてSDGs(持続可能な開発目標)のゴール達成に取り組んでいる。SDGsに寄与した企業や団体を表彰する催しで、外務省と環境省が設ける賞を連続受賞する栄誉を得た。“思いやり”のある消費者を増やそうと、「まずは参加、実践することで自分事にしてもらいたい」と展望している。
設立は2018年。松尾真希社長がまちづくり研究の一環として、米ハワイ大の大学院でSDGsの前身に当たるMDGsを学び、帰国後に起業した。電力を再生エネルギーに変えることなど「企業規模にかかわらず、小さなことから活動を始めることができる」と提案しており、「(社会・地球環境に配慮した行動を意味する)『エシカル』な商品をより多く流通させ、消費者と一緒に社会課題を解決する仕組みづくり」を目指している。
取り組むSDGsのゴールの一つに「貧困を無くそう」「人や国の不平等を無くそう」がある。展開するブランド「Raffaello(ラファエロ)」では、アジアの最貧国の一つ、バングラデシュの製造工場と直接取引をしているのもその理念の一環だ。
ブランド創設のきっかけは、同国で目にした多くのストリートチルドレンたち。子どもたちの困窮や教育の不均衡を引き起こす一因を「シングルマザーの貧困」と考え、彼女らが安定した収入を得られる仕組みづくりを念頭に、シングルマザーの雇用を促進している工房との提携を続ける。さらに純利益の一部を、子どもたちへの教育機会の均等を進める非政府組織(NGO)へ寄付するなど現地と連携を深めている。
こういった活動が評価され、昨年度は「外務省ジャパンSDGsアワード」で外務大臣賞、21年度は「環境省グッドライフアワード」でも委員が選定する賞を受賞。過去の受賞は自治体や大手企業が多いことから松尾社長は「まさか取れるとは思わず、びっくりした」。事業を担う社員(役員)は夫でもある菊池友佑副社長との2人で、「私たちのような零細企業でも、積み重ねれば売り上げと社会活動を両立できる」と胸を張っている。
社名の「フランク」は、引き取った保護猫の名前。「ただ、かわいいなと思ってとった行動だったが、仕組みづくりをすることでサステナブルな活動につなげていける」という気付きに起業の原点がある。松尾社長は「企業が取り組むことで社会に与える影響は大きい。消費者を巻き込み、サステナビリティーが当たり前の社会になっていけば」と期待を寄せている。
■代表者 松尾 真希
■住 所 大阪市中央区南船場4の9の6の206
■資本金 100万円