浪速産業

SDGsなオフィス提供 入居企業の交流と成長を

あきない見聞録

 大阪市中央区谷町で、「アトランティス21ビル」「ターネンビル№2」「サンシャイン大手前ビル」「NSビル」の4棟のオフィスビルを自社管理している。現在、オフィスの価値基準を平方メートル単価から社会的価値の創造へと変革することに挑戦しており、使い続けることで持続可能な開発目標(SDGs)に貢献できるオフィスを提供する。

 創業は1928年。5年後に100年企業となる老舗で、当初は綿・毛織物卸、既製服・作業服・学生服などの製造販売からスタートした。光学機器の生産や農機械器具の製作などに事業を広げる中でビル建設も実施。繊維産業が海外の安い製品の席巻で苦境に追い込まれる中、「同じやるならいいものを」との思いで建設したビルが事業の柱に育った。

 今年3月、新たな挑戦として「ターネンビル№2」の4階オフィススペースを長く使い続けたくなる共感型セットアップオフィス「KUUHAA(クーハー)」へリニューアルした。

 賃貸オフィスは入居のたびの原状回復が一般的で、まだ使用できる資材を使い捨てにしているのが現状。「KUUHAA」では、長く使い続けることでの環境負荷軽減効果を数値で説明し、立地や平方メートル単価、年数以外の社会的価値を提供する。

 具体的には床やデスク、各部屋にある個室ワークブースに、カーボンニュートラル貢献量証明書のある国産杉材を使用し、テニスコート6・5面分のスギ林が1年間で吸収するCO2の量を4階のオフィスが吸収する。

 消耗品である椅子やフロアカーペットは、国内の使用済み漁網を回収し、リサイクルした再生ナイロンの糸と再生PET糸を編み込んで作っており、海洋プラスチックごみの減少に役立てている。フロア内の電力は再生可能由来エネルギーを使用、年間39トンのCO2削減が可能だ。

 「KUUHAA」は貸室5室のほかに、入居者が自由に利用できる共用のラウンジエリアを設置。グリーンとアートが特徴的で、持続可能な社会づくりに関心のある人たちのつながりを深め、地域コミュニティーを広げていくことを目指している。

 「ターネンビル№2」は9階にコンパクトオフィス、5階に起業家特化型レンタルオフィス、2階にカンファレンスルームを設けており、フロアごとに役割を持たすことで、入居企業同士の交流を促し、成長を応援する。

 中野社長は「コロナ禍を経てオフィスの概念が変わった。新しい価値を提供し、挑戦する人を応援していきたい」と意気込む。

■社 長 中野雅司
■住 所 大阪市中央区谷町2の2の22 NSビル
■設 立 1938年(創業は1928年)
■社員数 10人

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