LEA hair

皆に優しい美容室を バリアフリー、全席半個室 車椅子や手話対応

あきない見聞録

 体の不自由な人や高齢者が気軽に通える美容室を目指し今年2月、豊中市の岡町駅前にオープン。各席にプライベート空間を設け、周りの目を気にすることなく心地よく“きれい”になる時間を提供する。

 店主の永山優さん(32)は小学生の頃から美容師に憧れ、就職したサロンでスタイリストになってもうすぐ1年という時、突然病に倒れた。「末梢(まっしょう)神経がやられ、全身の筋肉が動かなくなった」。ギランバレー症候群を発症した。

 3カ月間寝たきり状態で、入院は半年に及んだ。ようやく外出許可が出た時、真っ先に向かったのは美容室だった。「沈んだ気持ちを変えてもらえた。私ももう一度…」という思いで退院後は1年かけて、日常生活とスタイリストに戻るためのリハビリに励んだ。

 そして再び、スタイリストとしての復帰を果たす。研さんを積み、指名してくれるお客さんも増えてきた頃、「どんな人にも優しいサロン」を自分で創るという新たな夢に一歩踏み出す決意を固めた。

 福祉施設や高齢者が多い地域で、車椅子でも入店しやすい物件を探し、バリアフリーで全席半個室に改装。セット面3席のほか、高齢者や妊婦でも苦しくないシャンプー台などをゆったりと配置する。

 アレルギー物質のジアミンが入っていないカラー剤を使って肌の弱い人にもヘアカラーを楽しんでもらい、ストレス緩和や自律神経を整える頭浸浴、皮脂や汚れなどを取り除く炭酸泉などの施術も行う。

 両親は耳が不自由なため、手話もこなす永山さん。高齢者施設に出向きヘアカットなどをボランティアで行うこともある。スタイリストとして自分ができうる限りのことをすべて注ぎ込み、誰もが来店しやすい地域に根ざした美容室を目指す。

 店名「LEA hair(レア ヘアー)」の「LEA」はハワイ語で「幸福」などの意。オープンからもうすぐ4カ月。近隣からの来客も増え、「この前は95歳のおばあちゃんが来てくれた」とうれしそうだ。

 お客さんが来て、帰るたびに、「開業して良かった」という思いを強くするという。「自分の創った空間に来てくださり、喜んで帰ってもらえて、毎日感動しています」と優しくほほ笑む。そして「同じ思いを持つ仲間を増やして、ほかの地域でもサロンを展開していきたい」と次なる夢に向かってまい進する。

■代表者 永山 優
■住 所 豊中市岡町北3の1の5の120
​■電 話 06(7777)5358

同じカテゴリーの記事