アメリカのトランプ大統領が仕掛けた相互関税措置が、世界を揺るがしている。日本を含めた各国が対応に追われ、税率の根拠やその目的を巡ってさまざまな議論が巻き起こった。
その後、この措置への報復関税を実施しなかった国などに対し、第2弾として発動した上乗せ分を90日間停止すると発表。一方、中国との間では、お互いに高率の「報復関税」をかけ合う事態となった。
このようなニュースが飛び交っていた4月上旬、私はTED会議(※編注)に参加するためカナダのバンクーバーにいた。※編注=アメリカに本部を置く非営利団体主催の世界的な講演会。TEDはテクノロジー・エンターテインメント・デザインの略で、各分野の専門家や著名人がプレゼンする
会場での議論や、休憩時間の参加者との雑談、そして滞在中に見聞きした報道でも、アメリカの動きは高い関心を集めていた。とりわけ、カナダはトランプ大統領から「アメリカの51番目の州になればいい」などと「口撃」されていたこともあって、「本当に困ったものだ」という雰囲気に包まれていた。
バンクーバー在住の方々に聞くと、アメリカ製品ではなくカナダ製品を買おうとする動きや、3月に就任したばか...