【楽しき波乱万丈 浜木綿子聞き書き#8】長男誕生も離婚、舞台で涙 「尊敬される女優に」決意

  •  レット・バトラー役の高橋幸治(左)とベル・ワトリング役の浜木綿子=1966年ごろ(東宝演劇部提供)
  • 浜木綿子=東京都千代田区の帝国劇場
  • 10回続きの(8)

 舞台、映像で約70年にわたり、主演し続けてきた俳優・浜木綿子。開場から舞台に立つ東京・日比谷の2代目帝国劇場は建て替えのため2月末に幕を閉じた。浜の航跡を人との出会いを軸にたどる。

   ×   ×  

 浜木綿子と三代目市川猿之助(二代目猿翁)の間には1965年12月7日に長男(俳優の香川照之)が誕生した。「専業主婦を夢見ましたが、猿之助さんに『女優として成長してほしい』と言われて菊田一夫先生に『これからもよろしくお願いします』と伝えました」

 だが菊田は「君は結婚した女優で魅力は半減だから、いい役はないよ」と言い放った。「悲しくてズキンと来ましたが、『それでもいいです』とお答えしました」

 66年9月の新帝国劇場開場披露に出演。同11月3日開幕の「風と共に去りぬ 第1部」(菊田脚色・演出)で演じたレット・バトラーの愛人、ベル・ワトリングは登場の度に拍手が起きる好評ぶりであった。

 67年6月からの「風と共に去りぬ 第2部完結篇」も同役で続投。だがその頃には猿之助から離婚話が持ち出されており、理由が分からないまま自宅で夫の帰りを待った。

 「バトラーとの別れの場面が私生活と重なって、悲しみを抑...

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