シンガポールの屋台文化が直面する高齢化と継承問題

  •  「ホーカーセンター」と呼ばれる屋台が集まった複合施設(シンガポール中心部)
  •  ロンボク島で行われたバリのヒンズー教のお祭り「オゴオゴ」(インドネシア)

 手頃で香り豊かな料理を提供するホーカー(屋台)文化は、シンガポール人のアイデンティティーの礎と言える。

 シンガポール統計庁が2022~23年に実施した世帯調査によると、国民の食費に占める外食費の割合は67・9%に上っており、このうちホーカーセンター(屋台街)、フードコート、コーヒーショップで全体の約6割を占める。また、ホーカーは2020年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されるほど存在感を示している。

 だが、シンガポールの屋台文化も最近、数々の課題に直面している。店主の高齢化が進んでおり、事業を継承する若者は極端に少ない。またホーカーセンターで清掃する従業員も、定年の63歳を超えて再雇用で働く人が多い。

 長時間にわたる労働や体力的にきつい仕事内容、利益の低さがその理由だ。さらに食材費と賃料の上昇は、常に悩みの種に。ヘルシー志向の高まりや出前アプリの普及といった社会の変化も、逆風になっている。

 それでもホーカー文化を残そうと、政府が店主に対し、資金援助や調理技術、マーケティングについて研修をしている。また社会的貢献活動に取り組む企業がガイドを派遣して観光案内をする事...

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