人は誰でも間違いやミスを犯す。間違いをするから人として成長し、度量や優しさを身につけるともいえる。
ただし、そのためには条件が必要だ。間違いやミスを忘れてしまうのではなく、なぜそのような問題を起こしたのかを自己点検し、同じミスを繰り返さないよう反省と努力を怠らないことだ。これは人間だけではなく企業や各種組織でも同じことがいえる。
大阪維新の会の笹川理府議による不祥事が週刊文春の報道で明らかになった。笹川府議は8年前、後輩の女性市議にパワハラを働いたと同誌は報じた。この報道に対して大阪維新は笹川府議を「厳重注意処分」とした。だが、府議団代表だった彼は代表を降りないと、このとき会見で語っていた。
しかし文春はその後、笹川府議が女性市議に対してセクハラを疑わせるメッセージを送っていたことも暴露。さすがに笹川府議は代表を辞任すると頭を下げ、最後は離党の意向を固めた。ただし議員は続けるという。
笹川府議の不祥事は過去の話であり、女性市議もこれ以上は問題を大きくしたくない様子である。ただ、女性市議がそのような寛大な姿勢を見せているからといって、これで済むわけではない。笹川府議は当然として、大阪維新もこのような問題を二度と起こさないよう自己批判と内部点検が絶えず求められるからだ。
残念ながら大阪維新では、何らかのトラブルを起こした議員があまりにも目立つ。選挙違反や金銭トラブル、はては傷害事件を起こす者までいた。もちろん問題を起こして警察沙汰になる議員は他党にもいるが、それにしても大阪維新は発生件数が多すぎる。
この原因は、トラブル議員に対する同党の処分の甘さにあるのではないか。トラブルを重く見て党員資格停止の厳しい処分を科しても、いつのまにか復党している例もあった。これは党の温情かもしれないが、見方によっては嵐が過ぎ去るのを待っていたとも思える。議員の数を減らしたくないから世間が忘れたころに復党させたと思えなくもない。
大阪維新は「身を切る改革」を党是として前面に押し出している。だったら「泣いて馬謖を斬る」ではないが、身内にこそ一罰百戒の厳しさを示すべきだろう。そのような姿勢を示して初めて党として議員として成長する。議員の数が増えることだけが成長だと勘違いしていると、いずれまた同じトラブルに見舞われるだけである。
(近畿大学総合社会学部教授)