元従業員、8億円横領 琴浦の事業所、刑事告訴

 段ボール製造などを行う森紙業(京都市南区)の子会社、鳥取森紙業(同)の鳥取事業所(鳥取県琴浦町逢束)に勤務していた経理担当の男性従業員(年齢非公表)が、会社の金約8億円を横領したとして刑事告訴されていたことが20日、分かった。男性従業員は今月上旬に懲戒解雇された。

 同社のグループ会社、王子ホールディングス(東京都中央区)によると、元従業員は2015年ごろ~23年の少なくとも8年間にわたり、会社の金庫から現金を持ち出したり、口座から預金を引き出したりして総額約8億円を着服。つじつまを合わせるため、架空の伝票を紛れ込ませるなど経理システムを改ざんしていた。いつから横領していたかは捜査中で、被害額は増える可能性があるという。

 今年3月、22年度決算業務の過程で不審な内容が含まれていることが発覚。社内調査の結果、私的流用が明らかになり、元従業員は横領の事実を認めた。元従業員は「競馬などのギャンブルに使った」などと話しており、会社には返金されていないという。

 元従業員は経理業務を担当し、金庫の鍵や会社の通帳などを持ち出せる立場にあった。

 鳥取森紙業は6月9日付で元従業員を懲戒解雇処分とし、業務上横領の疑いで鳥取県警へ刑事告訴した。

 鳥取事業所の経理業務は複数人で担当していたが、王子ホールディングスによると「隠し方が巧妙で気付けなかった」という。今後、親会社による定期的な監督・監査を強化し、再発防止に努めるとしている。

 親会社の森紙業の担当者は、本紙の取材に「捜査中のため、お答えできない」とした。

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