現代風、多面的視点で 映画「大名倒産」見どころ 石塚プロデューサー(米子出身)に聞く

 米子市出身の映画プロデューサー、石塚慶生(よしたか)さん(54)=松竹=が手がけた最新作「大名倒産」(松竹配給)が全国公開中だ。これまで「実写版ゲゲゲの鬼太郎」や「こんな夜更けにバナナかよ 愛(いと)しき実話」などの話題作を手がけてきた石塚さんに、今作の見どころやプロデューサーの役割などについて聞いた。

 「大名倒産」は浅田次郎さんの同名小説が原作。江戸時代を舞台に、思いがけず大名家の家督を継ぐことになった若き藩主・小四郎(神木隆之介)が藩の借金100億円の踏み倒しを強要されながらも、知恵と工夫で難局を乗り切ろうと奮闘する時代劇コメディーに仕上げた。

 石塚さんは2020年夏に原作を読み、痛快なストーリーに加え、環境保護や社会風刺など現代に通じる要素も多いと感じ、映画化を企画したという。

「まじで?」

 映画は脚本作りから始まる。脚本が良ければ出演者が決まりやすくなり、スポンサーも集まりやすい。脚本完成までにかけた期間は約2年。俳優の杉咲花さんが演じる「さよ」が登場するなど、原作とは違う設定が盛り込まれた。

 神木さんの表情豊かなリアクションも見どころの一つで、時代劇だが「まじで?」「うそぉ!」などの現代語が飛び出す。脚本の段階で言葉遣いを現代風に変え、試写を見た原作者の浅田さんからは「現代語だから気持ちがすっと入る。これを狙ったんだね」と評価されたという。

 「小四郎はさよと出会って変わっていく。小四郎は一人じゃない、仲間がいるという視点もある。多面的に見られる映画」と石塚さんは見どころを語る。

施工主

 映画監督を「現場監督」とすれば、映画プロデューサーは「施工主」のようなもの。各所の意見を取り入れながら脚本を改良したり、天候不順など不測の事態が起こった場合のスケジュール調整をしたり、「基本は人と人のコミュニケーション」と石塚さん。大切にしていることは観客の視点。現場はそれぞれの担当を一生懸命やり、プロデューサーは俯瞰(ふかん)して見る。制作側と適度な距離を取ることも大事だ。

 10月には次作となる政治系サスペンス映画「お前の罪を自白しろ」(松竹配給)の公開も控える。「作品を通してお客さんとコミュニケーションして喜んでもらえることが映画作りの一番の楽しみ。今後もみんなが喜んでくれる、幸せになれる、楽しんでくれる映画を作りたい」と語った。

 ◇「大名倒産」は鳥取県内ではMOVIX日吉津で上映中。

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