母校へ凱旋収録!?

現役大学生が湖畔でラジオ番組

 湖西線の車窓から琵琶湖を眺め目的地へ向かう。今から四半世紀前、私は大津市にある『成安造形大学』を卒業した。1期生だった事もあり、未完成の校舎でスタートしたキャンパスライフ。日々起こる想定外のアクシデントに対して学生、教職員が一丸となって取り組んだ。振り返ると「学校づくり」という壮大な作品に挑んだ経験は、かけがえのない青春となった。なお、右も左も分からず湖畔から社会へ飛び立って行った同志は50歳を前に各方面で実績を残している。

 今春、母校からインターンシップの受け入れ依頼があり女子生徒1人を預かった。何事に対しても前向きな姿勢だったので放送現場や劇場の舞台裏へ連れて行きリアルを見せた。「普段、大学で何をしているの?」と尋ねたら「ラジオ番組を制作しています」と笑った。学生時代、DATで音声番組を制作していた記憶がよみがえった。思わず「今度、番組に呼んでよ」とつぶやいた。すると後日、丁重な出演依頼書と共に台本が送られてきた。

 「湖の畔からビビッッとON AIR」をコンセプトに制作する『ラジオ―セイアンデンパ』は、同大の学生支援部に在籍する新立翔さんが5年前に立ちあげた。これまでは学内のさまざまな方をゲストに番組を展開していたがOBは初めての試み。この日は、オファーをしてくれた佐藤裕紀乃さん&リクルートスーツ姿の片山小巻さんから成る4回生コンビがDJを担当した。

 2人とも「本職を前に恐縮です」と言うわりには音楽が流れ、番組がスタートすると私の半生や就活対策をドンドン質問してきた。和やかムードの中、結果的に私が学生のテリトリーで取材を受ける形になった。収録中、机にお茶と水がセットで並んでいた。帰り際、受け取り拒否したが自腹で用意してくれた交通費がうれしかった。

 これからも後輩たちにかっこいい背中や景色を見せていけるように精進していきたい。(コラムニスト)

 ■「ラジオ―セイアンデンパ」
https://www.youtube.com/@seiandenpa

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