NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の舞台となった東大阪市が新たな一面を見せている。JR徳庵駅から徒歩10分、今年5月にオープンした『トレイズキッチン』はメキシコの軽食「タコス」の専門店だ。
自作のTシャツ姿で接客するのはオーナーの草苅平さん。美術系大学卒業後、デザイン会社に勤務し企業の広告物を制作していたがコロナ禍に独立した。フリーランスとして従来の仕事をこなす傍ら「クライアントに提案するだけでなく自分でも何かやりたい」と決意し、奥さんの出身地である「ものづくり」の町で開業した。
「なぜ、タコス?」と尋ねたところ「実は義父母、私も新婚旅行はメキシコでした。現地で食べたタコスに感動しました。そこで、ちょうどいい物件があったので義母と協力しながら土日限定で営業することにしました」と笑う。気になる店名はアリゾナに在住する義弟トレイウィルソンさんに由来。本場の味や仕入れを指南してくれる頼もしい存在だ。
今春、WBCで日本とメキシコが戦う中、もう一つのドラマがあった。厨房(ちゅうぼう)に並ぶステンレス製の「トルティーヤメーカー」は地元の町工場と試行錯誤を重ね製造した。丁重な施しがされており機能性抜群だ。手際よく盛り付けられていく牛・鶏肉・海鮮といった具材の数々。調味料は全て現地から取り寄せており本場に近い味付けをしている。「周辺の郊外な感じがメキシコっぽくて好きです。平日は独立をお考えの方にチャレンジショップとして貸し出していきたいですね」と語る。
「この3年は大変やった…」と、特製タコスを頬張りながらフレッシュライムが泳ぐコロナビールで乾杯した。
(コラムニスト)
「トレイズキッチン」
東大阪市稲田本町2丁目1の52
■公式インスタグラム https://instagram.com/tacos.treys_kitchen?igshid=MzNlNGNkZWQ4Mg==