数学の世界にある、いまだに解けない問題や不思議な法則を、科学ライターの井筒智彦さんが毎月紹介します。古代から現代まで、人類が数と格闘した歴史も垣間見えます。
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今回は「9」をめぐる冒険に出かけましょう。
九九に「9の段」がありますね。
例えば、9×2=18、9×3=27、9×4=36。
ここで、答えの十の位と一の位の値を足してみてください。1+8=9。2+7=9。3+6=9。
あれ? どれも「9」になりますね。
九九の範囲を超えても同じことが起こります。
何でもいいので好きな数を一つ選んで、「9」をかけてみてください。
その答えの各桁の値を足します。合計が2桁以上だったら、再び各桁の値を足し、1桁になるまで繰り返します。
すると、最初にどんな数を選んでも、最後は必ず「9」になるのです。
表に例を載せています。
面白いことに「9」以外の数では、そうはなりません。不思議ですね。
これを逆さまにした性質もあります。
とある数の各桁の値を1桁になるまで足した結果が「9」であれば、その数は何かある数に「9」をかけた数になっています。つまり、その数は「9」で割り切れます。
これを使...