今度は火星-。鳥取砂丘の月面実証フィールド「ルナテラス」で29日、火星での砂嵐予報を目標にした実証実験があった。福岡大や千葉大など五つの大学の教員や学生で構成する「火星着陸気象グループ」が、鳥取砂丘の砂を、火星の空中を舞う“ちり”に見立て、飛散条件などを専用機材で調べた。
同グループの代表で福岡大理学部の乙部直人助教によると、火星では突発的に1年間程度、火星全域で吹き荒れる砂嵐が発生し太陽光が遮られる。同グループは、人類の移住実現に欠かせない砂嵐の予報を可能にするため、火星での気象観測実現を目指している。
今回の試験では、黄砂などの観測で使われる機材で、大気中に含まれるちりの飛散量や分布を計測し、風速計、温度計などを用いて飛散と気象状況の関係などをデータ化した。機材は火星での使用を想定し、千葉大学院工学研究院の椎名達雄准教授が大きさや重量、消費電力を抑えたものを開発した。
乙部助教は「鳥取砂丘の砂は湿っておらず、火星を想定するには地上で最も理想的。非常に有意義な結果が出たはず」と喜び、「火星での観測実現に向け、こつこつ進めていく」と意気込んだ。