身近な存在に別れ トスク全店閉店 最後の日、地元客ら見届ける

 JA鳥取いなば(鳥取市湖山町東5丁目、清水雄作組合長)の100%子会社「トスク」が運営するスーパー全店舗が30日、一斉に閉店した。閉店を迎えた店舗では、従業員がセレモニーを開き、集まった地元客らが身近な存在だったスーパーへの別れを惜しんだ。

 トスクは今年2月、他店との競合などで売り上げが低迷し、今後も黒字化が見込めないとして全店舗の閉鎖を発表。7月末にふなおか店と河原店を閉店していた。

 この日閉店した7店舗のうち、若桜、ちづ両店はエスマート(同市湖山町北3丁目)が運営を引き継ぎ、改修後に再度開店。吉成店は同社に売却される。本店は一部の専門店のみ営業し、来年6月末までに解体が始まる見通し。フレッシュライフいわみは活用法を協議中で、用瀬、丹比両店は複数のスーパーとの引き継ぎ交渉が続いている。

 創業55年の歴史を持つ本店(鳥取市行徳1丁目)には、最後の日を見届けようと雨の中、多くの地域住民らが訪れた。

 午後6時の閉店時刻を過ぎると従業員が正面入り口前に並び、閉店のあいさつが行われた。清水組合長は「大きな時代の波がやってきた。トスクはその波の中で長い間もがき、持続可能性を探ってきたが、とうとう閉店となった。多くの人にご愛顧いただいたことを深く深くお礼申し上げたい」と何度も感謝を述べた。

 その後「ご利用の皆さまには長らくご愛顧いただき、誠にありがとうございました」と従業員が深々と頭を下げると、集まった地域住民らが拍手を送った。

 閉店を見守った鳥取市的場3丁目の会社員、石淵由美子さん(50)は「生まれた時からトスクに来ていて、独特の温かい感じが好きだった。寂しい」と話した。

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