石川真生の写真を見ると、心がざわつく。それはおそらく、沖縄を踏みつけてきた日本人の加害性を突きつけられるからだろう。でも、それ以上に引きつけられている。彼女が捉えた沖縄の現実は確かに厳しいが、そこで暮らす人たちの生のエネルギーが見る者を魅了するのだ。東京都新宿区の「東京オペラシティアートギャラリー」で開催中の「石川真生―私に何ができるか―」(12月24日まで)について報告する。
■爆発する思い
「私は沖縄人です。日本人ではありません。日本人にはやられっぱなしだった。今でも沖縄は膨大なアメリカの基地を押しつけられているのに、日本人は知らん顔をしている」
半世紀にわたり、沖縄を拠点に活動する写真家、石川真生の個展が東京の美術館で初めて開かれると聞き内覧会に参加すると、会場に来ていた本人から言葉の洗礼を受けた。「私が今、爆発させている思いは写真を見れば分かると思う。でも写真は私がしゃべるよりは静か。自由に見てください」とも言う。
入り口で渡された写真の説明資料(ハンドアウト)を手に一点一点見ていくと、時間がまったく足りない。約1カ月後、再度足を運んだ。もう一度、彼らに会いたいという気持ちも...