江戸城の旧跡が残る四ツ谷駅周辺は、今も豊かな緑が保たれている。東京都新宿区と千代田区にまたがる美しい街並みを、歴史と自然の調和を感じつつ歩いた。(共同通信=松本泰樹)
JR駅の麹町口を出るとすぐ、交差点の一角を占める古びた石垣が目に飛び込んでくる。ここにはかつて、江戸城の西の玄関口に当たる城門「四谷見附」があった。門は明治時代に取り壊され、現在目にできるのは石垣の一部だけだが、その上に生えているムクノキの古木が大きく枝を広げ、辺りを見下ろしている。
駅の北側、JR線沿いにある「外濠公園」へ入ると、高木が並び立つ道があった。寺社の参道にも似た雰囲気が心を落ち着かせる。
駅の上方を横切って架かる「四谷見附橋」には、格調の高さを感じた。初代は1913年に完成し、400メートルほど離れた迎賓館赤坂離宮に倣ってネオバロック様式の装飾が施された。91年に架け替えられた現在の橋も意匠を受け継ぎ、橋灯や高欄の橋名板がクラシックな趣を漂わせる。
東京メトロ丸ノ内線は、四ツ谷駅の直前で地上に顔を出し、駅を離れて間もなく地下へ潜る。南側のトンネルは、周囲を樹木に覆われ、そこから赤い電車が出入りする様子がか...