カンボジアで感じる円安の悲哀

  •  首都プノンペンの街の様子
  •  筆者の自宅ベランダから毎朝見える光景

 カンボジアへ出張したときのこと。米ドルが街中で一般的に使われている同国では、極端な円安の悲哀を味わった。首都プノンペンの中心部でコーヒーとクロワッサンでも注文すれば、5~6米ドル(約750~900円)に軽く届く。1ドルが150円程度の円安ドル高になった現在、頭の中で換算するたびに、自国の通貨の弱さを実感する羽目になった。

 10ドル札を出せば、お釣りはカンボジアの通貨リエルで戻ってきて貴重な米ドルは消える。店員たちがやっていることは、中央銀行が外貨を買い集める為替介入に似ている。

 この国に慣れている人に言わせると「米ドルとリエルを使い分けないと、お釣りはごまかされる可能性が高い」らしいが、現地通貨は桁が大き過ぎて確かめる気にならない。リエル紙幣は、額面の最低額は50リエル、最高額は10万リエルまであるが、1ドルをリエルに換算すると4115リエルにもなる。

 米ドルを使わざるを得ないとはいえ、新興国でもこの状況。日本人にとって、物価の安さを楽しめる「楽園」はもうないのか。1周まわって日本が最後の楽園になりつつあるとしたら、笑えない現実だ。(カンボジア)

 ▽大気汚染の季節到来、インド

 11月...

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