かつて、都心に近い緑豊かな別荘地として人気を博し、関東大震災後に宅地化が進んだ杉並区・荻窪。昭和初期のレトロな雰囲気を今に伝える公園や建築物が点在する町を巡った。(共同通信=鈴木賢)
JR荻窪駅南側の商店街を抜け、住宅地をしばらく歩くと、大田黒公園のイチョウ並木が見えてくる。区によると、公園はドビュッシーやストラビンスキーを日本に紹介した音楽評論家・大田黒元雄氏の屋敷跡。1981年に日本庭園として開園したという。
ひのき造りの門をくぐると、石畳の園路が真っすぐ延びる。左右に樹齢100年もの大イチョウが立ち並ぶ風景が美しい。紅葉シーズンは木々がライトアップされ、多くの人でにぎわうという。
園内では、33年に建てられた大田黒氏の仕事場で、れんが色の洋館が記念館として公開されている。本人が愛用したピアノやアンティークの家具に囲まれていると、タイムスリップしたような気分になった。
公園から5分ほど歩いて杉並区立中央図書館へ。併設のウッドデッキや隣接する読書の森公園には随所にベンチなど椅子があり、開館時間中は自由に利用可能。時には開放的な空間でお気に入りの本を読むのも良いだろう。
図書館から駅...