【永浜利広 深読み経済ニュース】昨年の出生数は過去最低 少子化対策、国民負担増なら悪循環に

  •  永浜利広(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 厚生労働省が2月27日に公表した人口動態統計の速報値によると、2023年の出生数は統計開始以来最少の75万人台となりました。初めて80万人を割った22年から5%以上減り、少子化が一段と加速しました。

 出生数の減少ペースは近年加速しており、主因は婚姻件数の減少とみられています。フランスなどの婚外子が多い国とは異なり、日本は婚姻件数の減少が出生数に大きく影響します。

 背景には、新型コロナウイルス禍の影響が指摘されています。しかし、コロナ前から減少ペースは加速しており、コロナで全てを説明することは困難です。

 というのも、厚労省がまとめた「国民生活基礎調査」の2000年、10年、20年の値を分析すると、世帯主が20~30代の世帯総数のうち子どもがいる割合は、所得が高い層であるほど大きくなる傾向があり、家庭の経済環境と子どもを持つ選択には関係があることがうかがえます。所得が600万円未満の層で子どものいる世帯数の割合を見ると、20年の値は00年や10年に比べて明確に低下していることが分かります。

 こうした中、少子化対策の財源として国民の負担増が検討されています。しかし、いくら子育て支援を充実さ...

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