札幌市に本社を置き、北海道内や東北、関東で店舗を展開する「富士メガネ」という会社がある。同社は1983年から海外の難民や日本国内の中国残留孤児にメガネを無償で提供する活動を続けているが、このほど「第14回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」で最高賞の内閣総理大臣賞に選ばれた。同賞は、すぐれた社会貢献に取り組む企業や団体を表彰するために「人を大切にする経営学会」などが創設したものだ。
これまで寄贈したメガネの数は計約18万本、しかも社員たちが実際にアゼルバイジャン、イラク、ケニアなどの難民キャンプなどを訪れてひとりひとりに手わたしてきたというのだから、驚くしかない。昨年ははじめてパレスチナ・ガザ地区の子どもたちにメガネを届けに計画もあったが、戦闘が始まり当面、見送りとなっている。
長年の社会貢献活動のきっかけになったのは、戦前、樺太で「富士メガネ」を始めた創業者が、「モノが見えることで、人生を助けることもできる」と常に言っていたことだという。自分たちの持っている技術や知識を、ビジネスのためだけではなくて、多くの人たち、しかももっとも困難な状況にある人たちのために還元しよう、という発想な...