【藤岡みなみ 異文化探検隊】引っ越しで味わうサウナ的幸福感 道具ゼロから100のありがたみ

  •  藤岡みなみ
  •  ほぼ何もなくなった部屋で原稿を書いています=筆者提供
  •  全ての物を衣装ケースで管理する“裏技”も=筆者提供

 先日、この4年で5回目となる引っ越しを終えた。転勤や家庭の都合などさまざまな理由があるだろうが、私がこんなに引っ越しているのは基本的に引っ越しが好きだからだ。「また?!」と周囲から驚かれることもあるが、葛飾北斎は人生で93回引っ越したらしいから、私なんてまだまだである。

 子どもの頃も親の転勤であちこち移り住んでいた。転校は切ない。だけど、各地に友だちができると思うと寂しさよりも楽しさがほんの少し上回った。引っ越しの魅力に気づいたのも、この頃かもしれない。新しい街、新しい間取り、新しい最寄りのスーパー。日本国内で移動しただけなのに、目に映るもの全てが異文化に思えた。

 細かいことだが、いつも新鮮に思うのは、住む場所によって全く違うごみ出しのルールだ。24時間いつでも捨てられるマンション、専用の袋を購入する必要がある区、その袋の容量が信じられないほど小さい地域。

 あるとき一戸建てに越した際、近所の人に「この地区のごみ捨て場はどこですか?」と聞いたら「ごみ捨て場……?なんのことですか」と驚かれたことがある。その地域では、ごみはそれぞれの家の前に置くルールで、決まった集積所はないのだった。集積...

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