山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館(岩美町牧谷)は28日、日本海で操業する底引き網漁船で偶然に採集された「グソクムシ」を初公開した。専門家でもめったに見ることができない謎の深海生物で、同館での公開は初めて。5月31日までの予定で展示する。
グソクムシはダンゴムシの仲間でグソクムシ科に属し、100~400メートルの水深帯で生きた魚に一時的に寄生する。海底の魚の死骸などを食べる名前の似た「オオグソクムシ」や「ダイオウグソクムシ」とは科や種が異なる。
展示されたグソクムシは全長5センチ。標準的なサイズより1センチ程度大きく、体と触覚の一部が平たく変形していることが特徴とされる。兵庫県新温泉町の浜坂漁協所属の沖合底引き船「共幸丸」(田中壮一船長)が17、18日にかけて、香住沖の水深約210メートルから引き揚げたカレイの仲間に付着していた。
グソクムシは、とっとり賀露かにっこ館に持ち込まれた後、山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館で種類を判別した。同自然館学芸員の小矢野悠造さん(40)は「専門家でも見る機会が少なく、生態もまったく分かっていない。貴重な機会なのでぜひ見に来てほしい」と話した。