猿が高い知能を持つ世界を描く映画シリーズの新作「猿の惑星 キングダム」(公開中)は、弱者を踏みにじる独裁者に若き猿が立ち向かう姿を、迫力あるアクションで描く。ストーリーは分断が進む現代を反映し、ウェス・ボール監督は「シリーズを通じ、猿の世界はわれわれの鏡といえる。思考を刺激するから長く愛されてきた」と語る。
本作は今から300年後が舞台。帝国を築こうとするプロキシマス・シーザーに村を破壊されたノアは、謎めいた人間ノヴァと出会い、属性を超えた協力で支配を強める企てを止めようとする。
ボール監督は、猿と人間の関係を描くシリーズに「自分と異なる他者との共存は果たして可能か」というテーマがあると指摘。ノアとノヴァが歩み寄る流れを丁寧に描き、「先入観があっても、未来に向かう中で互いを変える」希望を表した。
俳優の演技を猿のCGに反映させて表情豊かに見せるなど、技術を駆使した大作で「ギーク(オタク)としてチャレンジしたかった。レベルアップできた」と笑う。続編を予期させる、猿と人間の相互理解に収まらない展開もあり「見た後に議論したくなってもらえるといい」と期待する。(共同通信=橋本亮)