毎月大量に刊行される漫画本の中で、読み漏らしてはいけない名作がある。たみふる『付き合ってあげてもいいかな』(小学館)はその一つ。女子大学生の犬塚(いぬづか)みわと、猿渡冴子(さわたり・さえこ)の恋愛を中心に、若者たちの出会いと別れを描く。本作はフィクションだが、みわと冴子たちが、現実の世界のどこかで生きていると思えるほどのリアリティーが魅力だ。阿賀沢紅茶『氷の城壁』(集英社)が高校生の恋愛を描いた名作ならば、『付き合ってあげてもいいかな』は大学生の恋愛を描いた傑作。12巻が刊行され、物語が佳境に入ったタイミングで、担当編集者の渡辺沙織さんを交え、作者のたみふるさんにインタビューした。
【目次】
(1)性的少数者は誰かの教材じゃない
(2)自分を受け入れてくれるコミュニティーはきっとどこかにある
(3)挑戦は、1人でできる
(4)主人公は、あなたたちでもある
【12巻までのあらすじ】
おっとりしていて美人の犬塚みわは、大学入学後すぐに参加した軽音部の新入生歓迎の飲み会で、たくさんの男子たちから言い寄られる。「女の人が好き」なみわに助け船を出すのが、お調子者の冴子だった。みわと、「(男より)女の方が...