大型連休の後半、思い立って群馬県桐生市の大川美術館に向かった。ずっと都内にいたが、天気もいいし、1日ぐらい遠出をしようと思ったのだ。
東京・北千住駅から東武鉄道の特急「りょうもう」に乗ろうとしたが、満席だった。リサーチ不足を後悔しながら、何度も乗り換えてJR桐生駅で下車する。地図アプリを頼りに歩くと、途中から上り坂になり「こ、これは…山登り?」と思いつつ進む。汗をうっすらかき始めた頃、市街を見下ろす山の中腹に美術館が出現した。
■小さく見えたが…
エントランスがこじんまりしている。小さな美術館だから、ゆっくり見てもそれほど時間はかからないだろうと思う。しかしその予想は外れた。かなり手ごわい、そして素敵な美術館だった。
入館する時には平屋に見えたが、実は5階建てだ。5階に入り口があり、階段を下りながら作品を見ていく。小さな展示室が複雑に入り組み、迷路を進むようだ。企業の社員寮を改装して美術館として活用したため、こんなユニークな構造になったという。
桐生市出身の実業家、大川栄二(1924~2008年)が、サラリーマン時代からこつこつと買い集めた作品約1200点をもとに、1989年に設立し...