【逍遥の記(22)】日本画とは何かという問い

 山の中腹のユニークな美術館で考える

  •  大川美術館の外観=群馬県桐生市
  •  展示風景。石井としかつの作品
  •  展示風景。堀江栞の作品
  •  金原寿浩「明日なき世界-福島第1核発電所4号機-」

 大型連休の後半、思い立って群馬県桐生市の大川美術館に向かった。ずっと都内にいたが、天気もいいし、1日ぐらい遠出をしようと思ったのだ。

 東京・北千住駅から東武鉄道の特急「りょうもう」に乗ろうとしたが、満席だった。リサーチ不足を後悔しながら、何度も乗り換えてJR桐生駅で下車する。地図アプリを頼りに歩くと、途中から上り坂になり「こ、これは…山登り?」と思いつつ進む。汗をうっすらかき始めた頃、市街を見下ろす山の中腹に美術館が出現した。

 ■小さく見えたが…

 エントランスがこじんまりしている。小さな美術館だから、ゆっくり見てもそれほど時間はかからないだろうと思う。しかしその予想は外れた。かなり手ごわい、そして素敵な美術館だった。

 入館する時には平屋に見えたが、実は5階建てだ。5階に入り口があり、階段を下りながら作品を見ていく。小さな展示室が複雑に入り組み、迷路を進むようだ。企業の社員寮を改装して美術館として活用したため、こんなユニークな構造になったという。

 桐生市出身の実業家、大川栄二(1924~2008年)が、サラリーマン時代からこつこつと買い集めた作品約1200点をもとに、1989年に設立し...

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