「7本指のピアニスト」西川さん 一音一音 思い込め ゆかりの地で聴衆魅了

 「7本指のピアニスト」として世界各国で演奏活動を展開している西川悟平さん(49)のコンサートが25日、倉吉市のエースパック未来中心小ホールで開かれた。「第二のふるさと」倉吉での悲願のステージで、約140人の聴衆を演奏とトークで酔わせた。

 西川さんは堺市出身。プロのピアニストを志して25歳で渡米したが、デビュー後に手の指が動かなくなる「ジストニア」という運動障害が発覚した。それでも夢を諦めず、懸命のリハビリの末に7本の指での演奏法を編み出すなど病気を克服し、東京五輪・パラリンピックのフィナーレを飾るなど世界的演奏家として活躍している。

 倉吉市は曽祖母の出身地で、幼少期に何回も訪れていたゆかりの地。2020年にコンサートを企画したが、コロナ禍で中止を余儀なくされた。

 念願がかなったこの日のコンサートで、西川さんは「倉吉、ただいま」と晴れやかな表情で登壇。渡米から病名の宣告、ピアニストとして大成するまでの秘話などを笑いを交えて語りつつ、ショパンの『ノクターン』やビートルズの『レット・イット・ビー』など13曲を披露した。鳥取市在住のバイオリニスト、湯浅いづみさん(33)とのセッションもあった。

 倉吉市研屋町の主婦、山口とも子さん(77)は、一音一音に思いを込めて紡ぐ西川さんの音色と前向きな姿勢に「音楽の素晴らしさを感じた」と感銘を受けていた。ステージを終えた西川さんは「必ず倉吉に戻ってくる。応援してほしい」と再訪を誓った。

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