【養老先生に人生相談!】合理化された職場で若手社員をどう育成するか、悩んでいます

  •  養老孟司さん(撮影・小島健一郎)

 【相談】管理職となり、社員の育成について、より深く考えなければいけなくなりました。論語に「四十にして惑わず」とありますから、既に出来上がった世代には極力そのままにするようにしていますが、20代はそうはいきません。ところが、ある程度、合理化された職場環境の中で、非合理な人間という存在を、どう育成すればいいのか。職種は半導体関係で国際競争の影響を受けるので、スピードが重視されます。合理化を前提に、そのまま合理的に指導してよいのか、悩んでいます。(広島県 会社員 48歳男性)

 【養老孟司先生の回答】

 去年1年間の日本の国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ、世界4位に転落したといって経済学者がさんざん細かい理由を語っていましたが、私にはそれほど小難しい解説は不要に思えます。シンプルにいえば、日本人の全体がそういう生産効率至上主義的なやり方に、特に若い人たちが「NO」を突きつけ、それが今まさに現象として現れているだけなのではないか。私にはそう見えます。

 ▽やるなら徹底的に

 労働人口が減り、若い人に「経済成長なんて俺には関係ねえ」という空気がまん延している中で、上から号令をかければ何とかなる、と...

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