大山町でコウノトリの営巣とふ化を確認 県西部で初の繁殖成功

 大山町は、国の特別天然記念物コウノトリの営巣とふ化を町内で初めて確認したと発表した。電柱に作られた巣でひな3羽がふ化しており、28日に個体識別のための足輪付け作業を行った。約1カ月後には巣立ちを迎えるとみられる。兵庫県立コウノトリの郷公園(兵庫県豊岡市)によると、鳥取県西部での繁殖成功は初めて。

 営巣したのは兵庫県朝来市生まれの3歳の雄と、京都府京丹後市生まれの4歳の雌。高さ約8メートルの通電していない電柱に、枯れ草などを使って縦約1・4メートル、横約1・6メートルの楕円(だえん)形の巣を作った。4月11日に住民からの連絡を受けて町が営巣を確認し、5月18日ごろにはふ化が確認された。

 足輪付け作業には町や同公園の職員らが参加。高所作業車に乗ってひなを地上に降ろし、成長具合や健康状態を念入りにチェックした。ひなはいずれも順調に成長しており、体長73~85センチ、体重3、4キロと確認された。性別や病気の有無を後日調べるために羽毛や血液の採取も行い、4桁の番号が刻まれた黒いアルミ製の足輪を取り付けて巣に戻した。

 同公園の布野隆之主任研究員は、営巣場所があり餌となる水生生物も豊富だったことが繁殖につながったとみており、「順調に県内でコウノトリの個体群が生成されている」と分析した。町は巣への接近やドローン撮影などを控えるよう注意喚起する看板を設置し、町文化財室の中島佑輔主任は「数ある場所から大山町を選んで繁殖してくれてうれしく思う。なるべく静かに見守り、繁殖地として定着すれば」と期待した。

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