マレーシア経済を陰で支えるシンガポールの存在感

  •  マレーシアの観光地として有名なペナン州ジョージタウン
  •  フィリピン・マニラの中心部で増え始めた電動キックスケーター

 シンガポールに住む友人一家が、車でクアラルンプールにやって来た。夫人が「旦那はマレーシア出身で頻繁に帰省しているので、観光といっても見たい所はほとんどない。行きたい場所はスーパー」と言うので、同行した。

 てっきり飲み物でも買いたいのかと思っていたが、友人夫婦は「安い、安い」と言いながら大きなカートに日用品を次々と入れていく。東南アジアは日本に比べて物価が安いと言われていたのは、一昔前の話。クアラルンプールで暮らしていると、物価が安いとは決して思わないが、全てが高いシンガポールに比べれば、買い物天国なのだろう。

 地場証券会社TAセキュリティーズ傘下の調査会社TAリサーチが6月25日に発表したマレーシア経済のリポートによると、2024年1~3月にマレーシアを訪れた外国人観光客は580万人。前年同期比では32・5%増だったが、コロナ禍前の19年1~3月比では依然として13・2%減と回復のスピードは鈍い。

 マレーシアを訪れる外国人旅行者のうち4割はシンガポールからの旅行者で、通貨リンギット安も買い出し旅行を後押ししている。友人一家が購入した大量の日用品を運ぶのを手伝いながら、マレーシア経済を...

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