自然再興の意義説く 「プラネタリーヘルス」フォーラム 実践者ら、持論展開

 人と地球の健康を一体的に考える「プラネタリーヘルス」をテーマにしたフォーラムが3日、米子市淀江町のさなめホールで開かれた。識者や実践者6人が登壇し、ネーチャーポジティブ(自然再興)の視点に立った観光や「医食農」連携の可能性について持論を述べ合った。

 日本ヘルスケア協会が主催し、鳥取県が共催。江府町のベンチャー企業テンライの代表取締役医師で同協会プラネタリーヘルス・イニシアチブ代表の桐村里紗氏が基調講演し、失われた生態系を人の手で再生し新たな価値を生み出す必要性を訴えた。

 桐村氏は無農薬、無施肥、不耕起による協生農法、ワラや落ち葉を使って地下の微生物や水脈を守る有機土木を手掛け、人を呼び込むツーリズムにつなげている。「自然の再生行為を通じて経済を回すモデルを作ればこの地は豊かになる」と強調した。

 パネル討議では、ガイナーレ鳥取を運営するSC鳥取社長の塚野真樹氏が、弓浜半島で無農薬で育てた芝生を用いて小学校や保育園のグラウンドの芝生化を行政と共に進めている事例を紹介。「生物多様性がキープされた芝生に接することは腸内環境にも良い」と話し、芝生施設の活用で交流を拡大する考えを示した。

 内閣府沖縄総合事務局運輸部長の星明彦氏は「この地には訪れる人との深い関係性を醸成するブランドがある。次世代に何を伝えるかしっかり表現すれば来訪者の共鳴を得る」とエールを送った。

 討議を進行した京都府立大客員教授の佐藤洋一郎氏は「異分野の人同士が横串をさして理解し合い、一つの地域で解決策を見いだせば他地域にも波及する」と総括した。(沢田圭太郎)

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