【シネマの花道(4)】日本の心意気、西洋の合理性

時代劇を継承する熱い思い

  •  ドラマ「SHOGUN 将軍」より。武将吉井虎永を演じる真田広之(☆(○の中に小文字のC)Courtesy of FX Networks)
  •  エミー賞を受賞した真田広之(右)とアンナ・サワイ=9月15日、アメリカ・ロサンゼルス(ロイター=共同)
  •  Blu-ray&DVD発売中、発売・販売元:松竹(C)2002松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂/日販/衛星劇場
  •  映画「侍タイムスリッパー」より(C)2024未来映画社

 米テレビ界最高の栄誉とされる第76回エミー賞で、米配信ドラマ「SHOGUN 将軍」が連続ドラマ部門作品賞など18冠に輝いた。舞台は日本の戦国時代、せりふの7割が日本語。異例とも言える快挙は、主演男優賞を受賞した真田広之が異文化の壁を乗り越えようと闘い続けた約20年の歴史がもたらしたものだった。

 「西洋と日本のクルーやキャストが一緒に仕事をするということは、互いを尊重し、学び合い、助け合うということ」。授賞式後の記者会見に臨んだ真田の発言を聞いて、同じ言葉を昔、真田本人から聞いたことがあるのを思い出した。

 2004年11月、中国・上海。新年紙面向け記事の取材のため、ジェームズ・アイボリー監督の映画「上海の伯爵夫人」の撮影に参加していた真田に会いに行った。通訳もマネジャーもつけず、現場に単身乗り込んでいた真田は、多国籍のスタッフたちと冗談を言い合って笑っていた。「1人だと、相手とじかにコミュニケーションを取らざるを得ない。英語で考えるようになるし、現場にスッと入れます」

 このとき既に海外に軸足を移していた真田だが、きっかけとなったのは唯一の日本人キャストとして参加した1999~2000年...

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