近隣都市バリクパパンから車でおよそ2時間半。起伏の多い一般道を時に荒々しく揺られながら抜けた先に、インドネシアの東カリマンタンで建設中の新首都「ヌサンタラ」が姿を現した。
数キロ前まで道路沿いに見ていた、小さな商店や学校が並ぶ田舎の風景からは想像のつかない別世界に入ったような感覚だ。国章の神鳥「ガルーダ」が翼を広げた姿をイメージして設計された大統領府と宮殿がそびえ立つ。中心部を見渡せる展望台には、独立の父であるスカルノ初代大統領の銅像が立ち、インドネシアの赤と白の巨大な国旗が風になびく。
新首都ではスマートシティーの実現も推進される。モノのインターネット(IoT)を活用したスマート住宅の開発を進めるほか、交通・モビリティー領域で電気自動車(EV)の利用促進や、移動手段の80%を公共交通機関や徒歩とし、主要施設と交通拠点を10分以内にアクセスできる街づくりを目指すという。
巨大都市ジャカルタから北東に遠く離れたカリマンタン島への首都移転計画。未完成の新首都ではあるが、2年前までは本当に何もなかった森林地帯だったと思い出す。「インドネシアという国のダイナミズム」がそこにあった。(インドネ...