文化財防火デーの26日、鳥取県内各地の文化財に指定されている寺社などの建物で消防訓練が行われ、消防や各施設の関係者らが初期消火から通報、放水の手順などを確認した。
鳥取市上町の鳥取東照宮での訓練には鳥取消防署などの計19人が参加した。参拝客のタバコの火の不始末が本殿に延焼する想定で、神社の関係者が水消火器で初期消火に当たるとともに社務所から119番通報。消防隊員が3分ほどで駆け付け、近くのため池から水をくみ上げて放水した。
長尾隆基禰宜(ねぎ)は「参道がぬかるむ中、迅速に対応していただき安心した」と話した。同消防署の森下真樹副署長は「(火災は)何百年続いた国の財産を一瞬で失ってしまう」と火災の恐ろしさを指摘し、防火に向け力を込めた。
倉吉市仲ノ町の天台宗の古刹(こさつ)・長谷寺では、本堂付近から出火した想定で訓練が実施された。
同寺は打吹山の中腹にあり、車両の乗り入れができないため、麓の消火栓から消防車を経由して同寺入り口までの約470メートルを西倉吉消防署と倉吉市消防団の計24人が駆け上がりながらホースで手際よくつなぎ、放水の準備を整えた。
同消防署の宮本光則署長は「訓練を通して文化財の大切さを認識してほしい」と話し、奥野秀應住職は「訓練していただいて心強い限り」と感謝した。