東京都杉並区の中央部を流れる善福寺川両岸にある「和田堀公園」は、閑静で自然豊かな憩いの場として地域住民に親しまれている。JR中央線高円寺駅からバスに揺られ、公園を訪ねた。(共同通信=鈴木賢)
まず、地域の歴史や文化が学べる公園内の杉並区立郷土博物館へ。常設展示室では近隣の遺跡で発掘された石器や土器、古文書などを展示、解説している。旧石器時代から約3万年にわたって積み重ねられてきた人々の営みが実感できる。
浮世絵師葛飾北斎の高弟魚屋北渓が1821年に制作し、北斎の肖像画が含まれるとされる板絵(複製・同区の妙法寺所蔵)も公開。筆をくわえ、面長でいかめしい顔つきをした男性が、62歳当時の北斎と考えられるという。厳格さの中にもユーモラスな人柄がうかがえた。
博物館には江戸時代中期の一般的な農家を移築、再現した古民家もあり、屋内に入って見学することができる。「来館して、お気に入りのポイントを見つけて気軽に質問してください」と学芸員の伊東亜希子さん。
善福寺川の橋を渡り、木々の生い茂る公園を散策する。ジョギングコースとしても人気で、ランナーの姿が目立つ。散歩する老夫婦や木陰のベンチで談笑する若者...