時代と共に変化する女性の描かれ方を振り返る企画展「絵の中の美人」が、鳥取市覚寺の渡辺美術館で開かれている。江戸時代の浮世絵や近現代に描かれた日本画など色彩豊かな美人画が並び、来館者を魅了している。6月1日まで。
美しい女性を描く美人画は、日本特有の絵画ジャンルだ。江戸時代に浮世絵の一つ「美人絵」が人気を博したことで定着し、現代に至るまで当時の流行や文化、美意識の変遷を写し出しながら発展してきた。NHK大河ドラマ「べらぼう 蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」で江戸の文化や娯楽に注目が集まる今、その魅力に触れてもらおうと同館が企画した。
世界に数例しか現存しないという喜多川歌麿の浮世絵版木「蹴鞠(けまり)之図」や、歌川豊国(三代)が人物を、歌川広重が風景を描いた合作「田子の浦を詠む」など見どころたっぷり。歌川国芳、渓斎英泉(けいさいえいせん)ら江戸時代の人気浮世絵師から上村松園(しょうえん)、伊藤小坡(しょうは)ら近現代に活躍した日本画家まで約70点の所蔵品を披露した。
鳥取藩絵師・沖一峨(いちが)らに師事した松本楓湖(ふうこ)の「観桜・月見平安美人」、鹿野町出身の井江耕宗(こうそう)による「蝶(ちょう)と美人」など地元ゆかりの作品も展示している。
同館の高田正規学芸員は「江戸から近現代までの作品が並んだ。当時のファッションや理想の女性像の移り変わりを楽しんでほしい」と話した。