被害状況が徐々に明らかに 鳥取県東部の記録的大雨

 鳥取県東部を中心に全県を襲った記録的大雨から一夜明けた14日、被害状況が徐々に明らかになった。鳥取市白兎地内のJR山陰線で砂利の流出が見つかり、鳥取―倉吉間を終日運休。私立を含む県内の小・中・義務教育学校、高校の計12校が引き続き臨時休業や始業時間を変更した。浸水被害や土砂崩れを受けた住宅などでは、人々が後片付けや復旧作業に汗を流した。

 床上20~30センチまで浸水した鳥取市福部町湯山の「グループホームわかばの家福部」では、職員らが室内の荷物を外に運び出した後、床にたまった泥水をモップでかき出すなど、後片付けに追われた。

 13日朝、短時間に降った猛烈な雨で一気に水が押し寄せ、警察と消防に救助を要請。屋外の水位が腰にまで達する中、入所者8人と職員5人がゴムボートなどで救助され難を逃れた。車いすが必要な入所者が大半で、体に打ち付ける豪雨の中での救助に不安で涙を流す人もいたという。

 浜本康義代表(69)は「入所者全員が無事だったのが何よりの救い。安心して過ごしてもらえるよう一刻も早く片付けを済ませ、今後の対策を講じていきたい」と汗を拭った。

 3連休を控え、同じく床上浸水に遭った鳥取市吉岡温泉町のカフェ「パーラー株湯」は片付けを終えてから早速、営業を再開した。オーナーの吉田裕志さん(43)は「浸水を体験するのは2021年に次いで2度目。前は電気製品がいくつか壊れたが、今年は水かさが低くて良かった」と気丈に語った。

 同市気高町では深沢義彦市長が土砂崩れの現場3カ所を視察。気高中横の現場で職員から被害状況の説明を受け、「まだ全容を把握しきれていないが県東部は想定以上の被害。早急に復旧作業を終え、生徒や住民の安全確保に努めていきたい」と話した。

 鳥取県などの集計によると14日午後1時現在、鳥取市内で床上浸水3件、床下浸水19件の住宅被害を確認。小中学校4校、保育園2カ所、体育文化施設3カ所が被害を受けた。米子市西倉吉町でも住宅の床下浸水が1件あった。

 農林水産関係では、鳥取市福部町湯山のナシ園や同市円護寺の林道でのり面の崩落などがあり、被害額を調査している。

 県内では18日にかけて最高気温30度以上が予測され、県は熱中症特別警報を発令。日中の屋外作業などに注意を呼びかけている。

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