70年以上続く米子歌舞伎の伝統を受け継ぐ活動を続けている米子歌舞伎保存会(高野洋子代表)は、大山寺を再興し、米子城とも関わりの深い豪円僧正を題材にしたオリジナルの歌舞伎を24日に米子市公会堂で上演する。同保存会が地元にゆかりのある題材をテーマに演じるのは初めて。本番を前に、メンバーたちは最後の仕上げに追われている。
米子歌舞伎は72年の歴史があり、同会は1990年に大人と子どもで結成。毎年、秋の鳥取県総合芸術文化祭(とりアート)や同市秋の文化祭に参加し、小・中・高生も加わって活動を展開している。
これまでは阿波の十郎兵衛や番場の忠太郎、白浪五人男などのおなじみの演目を中心に演じてきたが、高野代表はかねて「米子歌舞伎の伝統を次代に引き継ぐためにも地元に根差したものを」と願っていた。
今回題材に選んだのが大山寺中興の祖として知られる豪円僧正。5年前に開かれた大山開山1300年祭で着想を得た。淀江(現米子市淀江町)生まれの豪円(円智)は比叡山延暦寺で修行し、延暦寺や大山寺などの再興に尽力。米子城の城主・吉川家とも関わりがあり、国家の安寧や戦勝祈願などを願った。