28日に琴浦町で開かれた鳥取県畜産共進会で今年も渡辺貞男さん(82)=伯耆町吉定=が出品牛のハンドラー(牛の引き手)を務めた。半世紀以上にわたって和牛の調教に携わってきた大ベテラン。手綱1本で和牛をコントロールする名人芸は、80代を過ぎてもなお健在だ。
和牛の調教はもともと農耕に使われる牛たちを自在に操るための技術。牛をまっすぐ歩かせることや姿勢を良く見せるため、品評会でも牛の評価を左右する要因になるという。
大会当日、渡辺さんは親戚の繁殖農家の応援でハンドラーを務めた。500キロ以上はある和牛を牛の鼻に取り付けた鼻輪と手綱さばきだけで自在に操る。審査会場で牛は周囲に反応し、興奮状態になるが、渡辺さんが手綱を打つと集中力を取り戻し、安定した姿勢を保つ。