ようやくやってきた今年の秋が駆け足で通り過ぎようとする季節に、気持ちを温められる本と映画を味わった。
まずは「窓ぎわのトットちゃん」の続編。著者黒柳徹子の自伝的作品で、出版史に残る大ベストセラーになった1981年刊の前作から42年を経て登場した。青春編ともいえる「続 窓ぎわのトットちゃん」の前半では、第2次世界大戦の戦火から逃れられなかったトットちゃんと家族の日々がつづられている。
食料不足で1日の食べ物が大豆15粒だったことや、東京から疎開先の青森まですし詰めの夜行列車で向かい、空襲で自宅を焼かれた体験を振り返る時の著者の言葉は、悲壮感ではなく、子どもの感覚のように未来に向かっていくたくましさをにじませている。
戦後、放送の世界に飛び込んでからの章は私のような60年代の子どものよく知るところでもある。テレビの「ブーフーウー」が大好きだった私は、70年代の一時期、著者が日本を離れニューヨークで学ぶことになったという話題もよく覚えている。
心を許せる知人が語る気持ちのいい話は、何度聞いても笑えたりほっとできたりするものだが、私たちにとってテレビや本で知る「黒柳徹子」とはそういう存在だと...