鳥取市富安２丁目に今月、保護猫カフェ「ヴァルトバーデン」がオープンした。障害者の福祉サービスを行う会社が運営し、軽度の障害のある従業員が働く、県内でも珍しい取り組み。丁寧な世話で猫が安心できる環境をつくり、従業員それぞれが仕事のやりがいや楽しさを実感しながら、猫好きの来店客に癒やしの空間を提供している。
同市新の就労継続支援Ｂ型事業所「アクア・エール」（岩崎知行代表）が運営する。動物好きな利用者が多く、岩崎代表自身も猫の多頭飼育崩壊などの問題に関心があったことから、保護猫カフェを計画。約１０人が従業員として働く。
飼育しているのは黒猫や三毛猫など多種多様な２６匹で、野良猫や一般家庭で飼育できなくなった猫を引き取った。「脱走防止」など飼育の条件を満たせば、次の飼い主に譲渡もできる。
最初は人間に対して警戒心の強い猫もいたが、徐々に慣れた。従業員は餌をあげたりトイレ掃除をしたりする際には「おまたせ」「もう少し待ってね」と声をかけ、優しく触れて保護猫と心を通わせている。
就労支援を受ける大谷麻衣さん（４１）は「最初は逃げられることもあったが、今は出勤すると、自分に向かって餌を求めて鳴いてくれるのがうれしいし、かわいい」と目を細める。
保護猫カフェの客だけでなく、従業員も猫に癒やされ「働き始めてから体調がいいと言う人もいる」と岩崎代表。「人間関係などさまざまな悩みを抱えた従業員もいるが、猫を通じて心を元気にし、『仕事って楽しい』と気力が高められる場になれば」と期待する。大人１時間１２００円で、ドリンク無料。
